著者: 鈴木哲哉
本書のテーマはザイログ社の開発したマイクロプロセッサのZ80ですが、その開発が始まる大きなきっかけとなる最初のマイクロプロセッサの開発から本書の物語はスタートします。
当時電卓メーカのビジコムに勤務していた嶋氏が汎用的な電卓用ICを開発するため、当時新興企業のインテル社と一緒に開発を進めます。これがIntel 4004として世に出ることになります。続けて、データポイントの端末用ICの8008、割り込みやDMAに対応したIntel 8080が開発・発売されていきます。
その後、これらの開発部長だったフェデリコ・ファジン氏がインテル社を退社し、ザイログ社を設立、嶋氏等とともにZ80を開発・発売します。これが1976年のことです。
本書が刺激的なのは、このようなZ80の開発の経緯だけでなく、技術的な特徴や解説が豊富なところです。なんと第2章では著者自ら技術的な裏付けを確認するため、Z80を用いたシングルボードコンピュータを自作しています。(設計されたプリント基板は発売されているそうです)